OSC JAPAN SECURITY NEWSBRIEF


June 08, 2020


<新型コロナウイルス対策における対応とセミナー中止のお知らせ>


当社は6月3日の「海外赴任前研修」について中止とさせていただきました。7月1日以降は、予定通り開催予定です。


但し、御希望の方には、別途、安全対策の講義のみ実施させていただきます。ウェビナー(リモート研修)あるいは、少人数(3人以内)での対面式研修で実施致します。


希望される方は、メール( kenshu@globalsecurity.jp )にて当社にお問い合わせください。


目  次

[米国] 有権者に対する意識調査 8割が「国内の状況は制御不能」と回答
[メキシコ] メキシコシティにある米国大使館や事務所などが襲撃される
[中国] 文化・観光当局 オーストラリアへの渡航を控えるよう勧告
[インドネシア] ジャカルタ知事 PSBB緩和期間の「守るべき4つの規則」遵守を呼び掛け
[フィリピン] スルタン・クダラット州 「非合法武装グループ」と戦闘 メンバー6人殺害
[インド] 4月の失業者1億2,150万人 失業率は27.1パーセント
[マリ] 「マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」指導者が仏軍の空爆で死亡
[英国] 感染拡大の影響で秋入学の留学生が半減 3,480億円の資金不足
[そのほか]
[6月7日に発出した渡航情報]

[米国] 有権者に対する意識調査 8割が「国内の状況は制御不能」と回答

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とNBCニュースは7日、米有権者に対する意識調査を公表し、10人に8人が「国がコントロール不能になっている」と回答したことが明らかになった。同調査は、新型コロナウイルス感染拡大で死亡者数が11万人を超え、白人警察官による黒人男性暴行死に抗議するデモも拡大する中、5月28日から6月2日まで有権者千人に対して実施された。4日に発表された5月雇用統計で雇用率が想定より高い数値になり、経済が早い段階で回復する可能性が示される前だった。有権者「全体」では8割ほどだったが、民主党支持者に限定すると、92パーセントに増加し、共和党支持者でも、66パーセントと高い数値になった。また、経済の現状を「貧しい」とした有権者は全体の約46パーセントで、2012年9月以降で最も高い割合となった。11月の大統領選に向けた全米支持率はバイデン前副大統領がトランプ大統領を7ポイントリード。「好感度」では、バイデン前副大統領とトランプ大統領ともに否定的イメージが肯定的イメージを上回った。「自身や家族の誰かが新型コロナに感染しているかどうかを非常にもしくはやや懸念している」との回答は63パーセントで、4月調査の73パーセントから下がった(下がった分の大半は共和党支持者を自認する有権者によるもの)。さらに、「新型コロナウイルスが収束し、経済が回復するには1年以上かかる」と回答したのは、約54パーセントを占めた。米国民の大多数は引き続き新型コロナウイルスの感染拡大を懸念しており、年内の経済正常化や国を団結させるトランプ大統領の能力には悲観的となっていると指摘した。
(衝撃的な11万人の死者)
(コメント:WSJ 、NBC共にトランプ大統領との相性はよくない。特にNBCに対してトランプ大統領はかつて放送免許のはく奪も示唆したことがある。米国の新型コロナウイルス感染症による死者は11万人を超え、第一次大戦での米国軍人の死者に匹敵する。海外との戦争ではなく、ウイルスとの戦争で5ヶ月間で死亡者が11万人という事態は、米国に住む人には大きな衝撃になっている。大きな衝撃はトラウマとなって米国全体に長く影響すると考えたほうがよさそうだ。)
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[メキシコ] メキシコシティにある米国大使館や事務所などが襲撃される

メキシコの首都メキシコシティで12日、同国ならびに米ミネソタ州の警察官による人種差別と暴力行為に対する抗議デモが行われ、一部デモ隊が暴徒化し、米国大使館などが襲撃された。最初は数十人規模のデモだったが、武装集団約百人が相次いで参加し、大使館に向かって火炎瓶や爆竹などを投げ、州庁舎のあるカーサ・ハリスコまで行進した。途中、レフォルマ通りにあるオフィスビルなど110棟も襲撃したため、警察部隊約500人が出動し、デモ隊と衝突した。警察部隊はガス弾などで強制排除したが、デモの鎮静化に約6時間かかった。今回のデモでは、記者4人と警察官6人のほか、少女1人の計11人が負傷した。
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[中国] 文化・観光当局 オーストラリアへの渡航を控えるよう勧告

中国文化・観光部は5日、中国人やアジア人への人種差別が広がっているとして、オーストラリアへの渡航を控えるよう勧告した。「最近、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、オーストラリア国内では中国人やアジア人に対する人種差別や暴力行為が増加している。中国人観光客は安全意識を高め、オーストラリアには行かないようにしてもらいたい」と声明を出した。オーストラリアの公共放送局ABCによると、豪観光相は今回の勧告に否定的な態度を示し、「オーストラリアは世界で最も成功している多文化・移民社会である。中国系オーストラリア人のコミュニティはその成功に貢献した貴重な存在だ」と発言している。
(コロナ起源を巡る豪中対立)
(コメント:新型コロナウイルス感染症の発生起源を巡っては、米中対立が報道されることが多いが、オーストラリアと中国でも、感染症の発生源の国際調査を巡って対立が深まっている。中国は豪州産牛肉の一部輸入禁止などの措置をとり、今回オーストラリア国内での中国人への人種差別を理由に人の往来を抑制しようとしているようだ。感染症の収束が進んだ国同士で今後渡航に関する規制緩和の動きが増えてくるが、相互渡航を原則とする以上、友好国同士の交渉が優先されることになりそうだ。)
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[インドネシア] ジャカルタ知事 PSBB緩和期間の「守るべき4つの規則」遵守を呼び掛け

ジャカルタ首都特別州のアニス知事は4日、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止のために施行している「大規模社会的制限」措置(PSBB)を14日間延長(6月5−18日)すると発表した。今回の延長は、同措置を幾分緩和した「ニューノーマル(新常態)」への移行期間と位置付けている。翌5日には、同期間にすべての市民が最低限守るべき4つの規則に関する説明を行なった。第一に、健康な人のみ外出すべきであり、体調不良の人は自宅に留まること。第二に、屋外でのいかなる活動においてもマスクを着用すること。第三に、人々の活動・交流時は最低1メートルの「ソーシャルディスタンシング(身体的距離の確保)」を守ること。そして、第四に、現場の状況を観察し行動すること(例えば、PSBBに違反してその場の面積半分以上が人々で密集されているような場合は入場すべきではない)。同知事は、4つの規則はどうしても外出する必要がある際の話であり、できるだけ外出しない方が良いことはいうまでもない、と強調した。また、今後も感染状況が改善しない場合、移行期間を停止して、より厳格に当初のPSBBを施行することになると警告した。
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[フィリピン] スルタン・クダラット州 「非合法武装グループ」と戦闘 メンバー6人殺害

ミンダナオ島中南部の治安維持を担当する陸軍「合同特別部隊セントラル」の5日付け報告によると、同部隊は4日早朝、スルタン・クダラット州ラバヨン町で「非合法武装グループ」(陸軍当局)と激しい戦闘を展開し、同グループのメンバー6人を殺害、9人を負傷させ、同グループのリーダーを含む14人を拘束した。また、同部隊は自動小銃などの銃器16丁と複数の簡易爆弾(IED)を押収したとしている。同部隊側の被害には言及していない。キャレオン同部隊隊長によると、リーダーの男は、同島中部を拠点にする身代金目的誘拐団(KFRG)「ペンタゴン」の元メンバーで、現在は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」系の地元過激派組織「バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)」と連携し、当該の新しい「非合法武装グループ」を率いて同地域で誘拐などの犯罪を繰り返している。押収されたIEDは、同地域でこれまで発生した爆弾テロで使用されたものと構造が同一であり、陸軍当局は、同グループが多くのテロにも関与しているとみて調べている。
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[インド] 4月の失業者1億2,150万人 失業率は27.1パーセント

インドの民間調査機関によると、4月に国内で新たに生まれた失業者の数が1億2,150万人に上り、失業率が27.1パーセントに達した。インドでも新型コロナウイルスが猛威を振るっており、国内全土で実施されている外出禁止令など封鎖措置の影響で大きな経済的被害が生じている。また、ニューデリーやムンバイなど大都市で働いている出稼ぎ労働者は地方へ戻らざるを得ない状況となり、混乱状態にあるという。インドでは累計感染者数が25万人に迫り、収束する兆しは見えず、来月の失業者数・失業率も厳しい数字になる可能性が高い。
(突出した感染拡大続く)
(コメント:インドのモディ首相は3月25日にインド全体の移動を禁止するため、公共交通機関を運行停止するなど世界でも稀な強いロックダウンを敷いた。経済環境の急激な悪化と貧しい人々の生活のひっ迫で徐々に経済活動を再開しているが、人々の動きが戻ると、日々の感染者が1万人に迫る勢いで増加している。アジアの国々では新規感染者は抑制されつつあるが、インドの感染者数は突出していて世界で5番目の多さになっている。なお、6月14日にデリーから羽田へのJAL臨時便が予定されている。利用希望者は在インド日本国大使館のホームページなどを参照して準備を進められたい。)
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[マリ] 「マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」指導者が仏軍の空爆で死亡

フランスのパルリ国防大臣は5日、マリ北部で行った空爆の結果、国際テロ組織「マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の指導者アブデルマレク・ドルクデル容疑者を殺害したと発表した。AQIMは2007年にアルジェリアで台頭し、同国南部やマリなどに活動領域を拡大させ、ブルキナファソやコートジボワールで発生したテロ事件でも犯行声明を出している。また、サハラ地域では国境を越えた広範なネットワークを維持している。2013年1月、邦人10人が殺害されたイナメナス人質テロ事件の首謀者モフタール・ベルモフタール容疑者は同組織の元幹部だった。
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[英国] 感染拡大の影響で秋入学の留学生が半減 3,480億円の資金不足

英国際交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」は8日、英国の高等教育機関への留学を希望する外国人を対象とした意識調査の結果を発表した。報告書によれば、主に東アジア(中国、シンガポール、マレーシア等)からの留学生を中心に、今年度秋学期から留学予定の約半数が、入学時期を1月に延期するかキャンセルすることを検討しているとわかった。この影響で、秋入学の留学生は1万4,000人程度減少するとみられる。新型コロナウイルスの感染拡大で、経済研究機関London Economicsは4月、英国の大学および大学院が最高25億ポンド(約3,480億円)の資金不足に直面すると警告していたが、今回の調査では留学生関連だけでも4億6,000万ポンド(約640億円)減収すると予測されている。英国の高等教育機関の組合The University and College Unionは、新型コロナウイルスの影響で多くの高等教育機関の職員や従業員が失業しており、キャンパス周辺で営業を行う人たちも大きな被害を受けているため、経済支援などの政策を早急に検討すべきであると主張している。
(国際間の往来はまだめど立たず)
(コメント:英国で留学生の減少から大学や周辺経済に深刻な影響が出ているとの記事だが、留学先から一時帰国した学生や今年留学を予定していた人にとってまだ留学の目途は立てられない。6月5日時点で日本の外務省は、世界129ヶ国や地域に対して、感染症危険情報レベル3(渡航はやめてください。渡航中止勧告)を発出している。世界の感染者数は、各国が経済社会活動を再開し始めていることもあって増加の勢いは増している。留学の再開はまだまだ先とならざるを得ないようだ。)



新型コロナウイルスに関連する最新情報は、毎日更新されているWHOのCoronavirus disease (COVID-2019) situation reports( https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports 
)を参考にしてください。
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[そのほか]

[米国] 法務長官 外国組織や反ファシズム組織が全米での抗議行動で国民の分断を煽っていると非難
[米国] 全米での抗議行動でバッファロー市等での警察官による抗議行動者への粗暴行為のビデオ映像が表面化
[米国] アラバマ州モーガン郡 住居内での銃撃で男女7人が死亡 容疑者は逮捕に至らず 警察はテロの可能性を否定
[米国] 雇用統計 コロナウイルス禍での失業率で大学卒が高卒の半分以下と学歴による不平等が顕著に
[ベネズエラ] フランス政府が大使館内に反政府リーダー グアイド氏を匿っているとのベネズエラの外務大臣の指摘を全面否定
[ブラジル] 政府HP上のコロナウイルス感染統計から毎日の感染者と死亡者数が削除 増加する感染者数を隠蔽との見方も
[中国] コロナウイルス感染者 6日時点の新たな感染者6人 5日時点ではゼロ 無症状感染者は6日時点で5人 5日時点では2人
[中国] 政府管理当局が違法な猥褻内容の生配信プラットフォームへの半年間の摘発を開始
[香港] フリーメディア 中国の国家保安法により沈黙させられることを恐れ放送内容抑制
[インドネシア] 南ジャカルタでタクシー運転手が誘拐被害者の女性(20)救護 先月29日にスマトラ島ジャンビ市内のATM前で男たちに誘拐される 被害女性「なぜジャカルタにいるのか記憶が曖昧」
[フィリピン] 南部・スルー州パティクル町 イスラム過激派組織「アブサヤフ(ASG)」と戦闘 ASG戦闘員2人と陸軍兵士4人死亡 兵士17人負傷 陸軍報道官「陸軍部隊は地形的に不利な位置にいた」
[タイ・カンボジア] プノンペンに亡命中のタイ人の反軍政活動家の男性(不敬罪容疑で指名手配中)が正体不明の集団に拉致される カンボジア治安当局が関与か 家族や学生団体などがタイ政府や国際機関に捜索・救出を要請 カンボジア政府「捜査する意思ない」
[イラン] 外務省が米海軍兵士の釈放に続き更なる収容者の交換による釈放の用意を米国に表明
[エジプト] リビアにおける紛争の終結のための新計画表明 ハフタル派の攻勢の失敗を受けて
[マダガスカル] WHOが承認していないコロナウイルス治療薬投与での苦味を消す菓子類を子供用に購入計画の教育大臣が退任に
[インド]  カシミール地方 インド軍が分離独立派の武装集団5名殺害に対する抗議活動
[オーストラリア] サーファーが10フィートのホオジロザメの攻撃で死亡 オーストラリアでの今年3人目の死者
[オランダ] 複数の飼育農場でミンクへのコロナウイルス感染が確認 政府が飼育農家に人への感染防止で10,000頭の殺処分を命令
[英国] 主要都市で米国の黒人男性死亡事件への抗議に同調する抗議行動が広がる ロンドンでの一部が暴徒化し警察が14人逮捕も
[WHO] 公衆の場での一般人のコロナウイルス対策でのマスク着用を推奨の方針に変更
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[6月7日に発出した渡航情報]

<外務省>
・ 各国に対する感染症危険情報の発出(レベルの引き上げ又は維持)

各情報の詳細は外務省海外安全ホームページ:https://www.anzen.mofa.go.jp/


<米国務省>
・ 全世界:「新型コロナウイルスに関する情報」の更新
「各国情報は、米国務省ホームページの各国ページで確認して下さい。」
・ ハイチ:「デモ警告」の更新(6/8)
「ポルトーフランス内及びその周辺にあるカルフール空港、べレール地区、デルマ市、ラリュ、その他の地域付近で抗議活動継続中。」

各情報の詳細は米国務省ホームページ:https://travel.state.gov/content/travel/en/traveladvisories/traveladvisories.html
及びツィッター:https://twitter.com/travelgov/


<英外務省>
・ 全世界:「新型コロナウイルスに関する情報」の更新
「各国情報は、英外務省ホームページの各国ページで確認して下さい。」
・ 米国:「渡航概要」の更新(6/5)
「5月27日から全米で抗議活動が拡大中。暴徒化しているものも。夜間外出禁止令が多くの都市で敷かれている。さらに抗議活動や外出禁止令が敷かれる可能性あり。地元当局の指示に従ってください。平和的な抗議行動に参加するならば、周囲を警戒し、身の危険を察知したらその場を離れるようにしてください。」
・ ウズベキスタン:「渡航概要」「安全・治安」「テロ」の更新(6/4)
「2019年11月6日にウズベキスタンとタジキスタンの国境にあるタジキスタン検問所で武装攻撃があり17人が殺害されたと報道された。テロ組織Daesh(ISIS)が犯行声明を出した。特にウズベキスタンとタジキスタンの国境地域及びその付近では、注意を怠らず警戒してください。」

各情報の詳細は英外務省ホームページ:https://www.gov.uk/foreign-travel-advice
(目次へ)

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